伝奇の画像

僕、成嶋彰人は私立享徳大学への入学を機会に家を出た。大学へバスで数十分ほどのマンションの一室が僕の新しい城だ。 高木や鮎沢真由子、佐々門、山村先輩。講義やサークル勧誘では新しく友達もできたけれど、『オカルト倶楽部』とかいうへんてこりんなサークルに振り回される羽目になったのは、やっぱりあの先輩たちのせいだ。 入学オリエンテーションを終え、僕は町の散策の途中で一軒の古い日本家屋を見つけた。日の落ちた夕闇の中、周りの闇を吸い寄せるようになお一層冷え冷えとした黒いシルエットを作り上げる、人気のない家。なぜだかわからないけれど、僕はその家を覗き込んだ。そのとき…僕を見つめる、一組の眼が、紅く光ったんだ。獲物を見つけた獣の嬉しそうな…。いや。まるで僕を待っていたかのように、紅い眼の『男』は、たしかに僕に微笑んだ。 その恐怖が忘れられないまま、数日後、大学のホールで誘われた語学学校の無料体験で、僕は心臓が止まりそうに驚いた。ノエル・シドーという講師が、あの紅い眼の男だったんだ！オカルト倶楽部である噂が取り上げられる。生徒が何人か行方不明になっている、という噂だ。しかも、町の病院に重度の貧血で担ぎ込まれる人が以上に増えているって。先輩は「絶対吸血鬼だ！」って言い切る。そんな中、僕の周りでもおかしなことが起こり始める。

幼い頃から何度も見ている《かがり火の向こうで躍る少女の夢》が、最近になって何故か頻繁に現れた。そんなある日、深夜に届いた父の訃報。数日後、それまで会った事も無い父の納骨の為に故郷の墓所を訪れた。没落した旧家である主人公の家に残された唯一の財産であった。そこで夢の中の少女の幻を見る…。大学に戻り、また平凡な日常が戻って来た矢先に現れた少女ライネ。夢の中の少女と瓜二つの彼女。人に似ているが人では無く、霊感のある者にしか認識出来ない存在。否応なしに始まるライネとの生活。それに前後してアパートの大家の姉妹のような母娘、ゼミの困った友人に困った先輩、学校に住み着いた（！）駆け出しの陰陽師（？）、大学を遊び場にしている霊感少女。そして故郷から捺しかけてくる許婚と個性的な人々に囲まれてしまう。少しずつ明かされる主人公の家の秘密。かつて行われた神降ろしの宴。それを再度画策する者達。それを阻止しようする者達。主人公とライネは新たな神降ろしにどう関係するのか？そして夢の意味とは？

ある日突然、主人公の妹にイヌミミが生えてしまった。さらに自宅が崩壊したり、謎の女に襲われたりと、トラブル続き！ゆうろのクラスメイトである、はずみの手助けもあり、何とかその場を凌いだ二人。それから、変わらぬ日常を送ろうと努力する兄妹であったが、武器を手に取り互いを敵として戦う宿命が、イヌミミ娘たちを待ちかまえていた！

あまり大きくない地方都市。そこにある一軒家に1人で住んでいる遥彼方。両親は他界し天涯孤独の身だったが、そのことにめげる事無く丘の上の小さな学園に通いながら友達に囲まれ楽しく過ごしていた。朝、彼方が目を覚ますと、なぜか目の前に青い顔をして倒れている金髪の少女が居た。とりあえず看病を始める彼方。やがて目を醒ました少女クリスはとんでもない事を口走る。自分は吸血鬼なのだ、と。普通ならそんな話、一笑に付す所だったが、彼方は違った。何故かそれを信じ、受け入れてしまう。それ以来、彼女と過ごすことになった彼方。成り行きで始まったとはいえ、彼女との生活の中で、今の自分がやろうとしている事について考えさせられていく。今をどう生きるのか、そして何を成し遂げるのか？特集： F&C特集

父方の祖父からの手紙を携え潤の前に現れた少女ベルチェ。彼女から手紙を受け取り、自らの出生について聞かされたとき、潤の生活は平凡から乖離してしまうのだった。真祖の吸血鬼の血を引いた潤。またその血が目覚めたことにより、日常と別れを告げ異端なるものとして生きる運命を背負ってしまった主人公の苦悩と、その主人公の血を求め、ある者はそれを滅ぼすため、またある者はその高潔なる血を次世代に残すためにと様々な運命の歯車が主人公を中心に廻りはじめる。それらを受け入れ（理解・消化し）乗り越え成長していく主人公・潤とさまざまな思惑を秘めた個性的なヒロインたちのストーリーがそれぞれに絡み合い複雑な物語りを織り成してゆく…『人間性とは、人間しか持ち得ないものなのか？』