シリーズ作品「北の女」の画像

北の大地、少年と少女は隣接する牧場で育った。神話の中の兄妹のように二人いつもいっしょだった子供時代、そこは『楽園』だった。思春期を過ぎるころ、少女の一家が『楽園』を追放されるまでは。十年余の時が流れ、今は荒れ果てた牧場で二人は再会。失った夢と時間を取り戻そうとしてか、男と女は激しい情交に溺れる…故郷を喪失し彷徨う全ての大人たちに捧げるファンタジー。

冬の日本海沿岸、吹雪を突いて走る列車内で男と女は再会した。都会での夢に破れ帰郷する男と、乳飲み子を抱え寄る辺のない街で母子家庭を守る女。初恋の美少女の面影はそこにはなかったが、母性のぬくもりが凍てついた男の心を溶かして…青春の挫折と再生を描ききった著者畢生の名篇！