10年前に兄が病気で他界して以来、傷心の主人公一家は町を離れて暮らしていた。亡くなった兄は神父をしており、兄が他界した後は、教会を未亡人になった兄嫁と母方の従妹が守ってくれていた。すっかり遠のいていた生まれ故郷だったが、叔母に手伝いを命じられて10年振りに戻ってくることになった。主人公は子供の頃から二人の年上の女性にそれぞれ惹かれる部分を感じていた。主人公の全てを包みこんでくれた、慈愛に満ち溢れた兄嫁の愛美。厳しさの中にも主人公の事を考え、導いてくれた従妹の蜜子。そして現在、胸に残る甘い憧憬とは別に、成熟した女の身体への劣情も強く意識してしまう。一方、二人の女性達も主人公にかつての夫、かつての想い人の面影を色濃く宿した主人公に久しく感じていなかった胸のときめきと身体の疼きを覚えてしまう。二人の女性と主人公の兄は幼なじみで三角関係であった。結局、兄と愛美が結ばれ、蜜子は、以来誰とも付き合わずに今に至る。表には出さないが、愛美の心の底では優越感が。蜜子の心の底には愛美への恨みがあり、そこに成長して兄と良く似た容姿の主人公がやってくることで、お互いに押さえていた女の部分がじわりと花開いてくるのだった。