シリーズ作品「闇の声」の画像

闇の漂う島があった。地図にさえ記されていない孤島に、闇の住まう館があった。そこに足を踏み入れたものは誰一人として戻ることはなく、享楽的な日々に身を置くことを選んだ。ある者は他者を虐げ、ある者は怠惰に生き、ある者は肉体の性を変え、またある者は永遠の快楽を得た。現実とはかけ離れた日々に疑問を抱く者はなく、彼らは今もその館で時を過ごしている…。ある夜、闇が言った。新しい獲物を招くよう、女に求めた。それは、新たなる宴――。人間が闇の力に溺れ、快楽のみを求める姿へと変貌する宴の始まりを意味していた。闇が笑い、女が笑う。傍らにいる二人のメイドも、やはり同じような顔で笑っていた。水晶玉に映るのは、荒れ狂う海に翻弄され続けている一艘のボート。その光景を見つめながら、闇が静かな声で、何かを予言するようにつぶやいた…。「汝、全てを映す鏡なり―」そして、嵐に呑まれた一組の姉弟が島に流れ着いた…。

かつて、一隻のヨットでバカンスに出かけた若い7人の男女がいた。彼らは、突然の嵐によってとある場所に浮かぶ小さな孤島にたどり着く。そして、その絶海の孤島には似つかわしくないほどの豪邸。まるで操られているかのようにその館に吸い込まれて行った男女は、その後決して姿を現すことはなかった…物語は、この奇妙な出来事から数年前に遡る…数年に一度しか姿を現さない小さな島。その不思議な島の謎を解くために、ある日5名の調査隊が上陸した。調査隊のリーダーである著名な大学教授プライドが高く夫への執着心が強いその妻古代魔術を研究している神学部の学生自分の力を試すために調査隊に参加した超能力少女幼い頃に受けたいじめの為に深く心を閉ざす心霊少女そして…調査団の水先案内人として港で雇われた「漁村の青年」無人と思われていた島にひっそりとたたずんでいた館で、彼らは妖艶な女主人「小夜子」と出会う。それが、欲望に支配された妖悦淫靡なる世界への入り口とも知らずに…